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2008年09月20日

実世界のプログラミング

ご無沙汰しています。

個人用移動体の自動走行のプログラムを書いていて、よく思うことは、実世界の(主に物理的)制約というのは、予想以上にやっかいなものだということである。
同じ実験を繰り返しても、結果が同じにならないからである。
無論、PCやセンサーの不具合やプログラムのバグのせいで、うまくいかないことも多いけれど、ちょっと向きが違ったとか、ちょっと距離が違っただけで、予想と全然違う動きをすることがあるのである。
やっぱり、実世界というのは複雑で面白いなあ、と思う反面、仮想世界ならこんなことは問題にもならないのに面倒だなあ、とも思う。
ロボットの(知的な)自律行動の研究をしている人たちが研究室内の実験環境から離れたがらない理由はよくわかる。
しかし、僕たちは日常環境で利用可能な知的移動体を作っているのだから、いつも同じところだけで実験をしているわけにはいかない。

この研究の目指すところの一つに、インドアロジスティックスあるいは施設内物流というものがある。
これは、人やモノを適切な場所に自動的に移動させる、あるいは、適切な場所に配置されているかを自動的に確認する仕組みを実現して、特定施設内の物理的環境をプログラミングによって最適になるように管理するということである。
タクシーの最適配置と循環経路の決定みたいな個別の問題があるけれど、それを、ある程度大規模な施設内の人とモノの最適な移動と配置の問題として一般化したものである。

倉庫内での物品の配置と検索なんてのはわかりやすい例だけれど、人の移動まで含めてうまく考えたいと思っているのである。
たとえば、博物館で、あるテーマの展示をするときに、美術品の配置と訪問者の興味に応じた移動を最適化したい、なんていう問題を解くには、施設内物流のシステムがあるとうまくいくだろう。


今度の木曜日(9/25)に名古屋大学で開催されるテクノフェア名大2008で僕のいる研究室が実演するのは、そのようなシステムのデモ(のとても単純な例)である。

個人用移動体は以前にもこのブログで紹介したオムニムーバーことAT9号機である(以下の図を参照)。

at9-technofair1.jpg

移動体の屋内位置を正確に認識する仕組みはまだ存在しないので、実世界環境に機械のための記号を埋め込むことにする。
要するに、RFIDタグ(無電源非接触のICタグ)を屋内のさまざまな場所に貼り付けるのである(これは僕らがいつも使う手である)。
また、全方位の距離を計測するためにレーザーレンジセンサーを用いる。

さらに、今回は美術館で自分の見たい展示物を(複数)選択すると、現在位置から近い順にその場所に連れて行く、というデモ(以下の図を参照)を行うのだけど、コンソールに映るカメラ映像に、その展示物の説明をオーバーレイし、さらにユーザーが画面上のその展示物をタッチするとウィンドウが開いてビデオが再生されるようになっている。
このため、展示物に赤外線LEDを付け(RFIDではリーダーの読み取り範囲の都合で展示物の位置を正確に知ることはできないため)、カメラでその位置を計算できるようにした。
その座標を使って移動体をその展示物の前に正確に誘導することができる。

at9-technofair2.jpg

また、これはおまけだけれど、Wii FitのバランスWiiボードを搭載して、体のバランスでATを制御する仕組みと、自動走行中にバランスを大きくくずすと自動的に停止する仕組みも実装されている。
搭乗者のバランスが走行中にどう変化したかを、Wii Fitさながらに、走行後にグラフ化して見ることもできる。

とにかく、いろいろとお見せできると思いますので、ご興味のある方はぜひ見に来てください。

投稿者 nagao : 16:56 | トラックバック